はじめての恋は、きみと一緒。

「いいなぁ、カラオケ。最近行ってないな」

「今度一緒に行こうよ」

「うん、行く! そうだ、絢斗くんと敦瑠くんも誘おう!」

 わたしは「そうだね」と返事をしつつ、笑顔の菜々花から目を逸らした。

〝敦瑠くんも〟という菜々花の言葉に、昨日のことを思い出してしまったから。

「どうしたの?」

「な、なにが?」

「敦瑠くんの名前出したら、あっち向いちゃったから」

「えっ……」

「沙耶って意外とわかりやすいよね」

 反論できないわたしに、菜々花はお見通しと言いたげな視線を向けてくる。

 彼女の言う通り、思ったよりも態度に出やすいタイプなのかも。

 教室に向かいながら、わたしは昨日の出来事を菜々花に話した。

 敦瑠が後輩の女の子たちと話しているのを見て、もやもやした気持ちになったこと。『妬いたんだな?』と敦瑠に言われて、自分は妬いていたんだと感じてしまったこと。

「なるほど。そんなことがあったんだね」

「うーん……。敦瑠が告白されているのを聞いてから、なんか変な感じ」

 あの日から強く意識して、敦瑠に話しかける他の女子のことを気にするようになった。

「それって、敦瑠くんのことが好きだからじゃないの?」

 教室に足を踏み入れたちょうど、尋ねられたわたしは菜々花を見て固まった。

 わたしが、敦瑠を好き!?

「いやいや、ありえないって!」

「そ、そうかな?」

 手で払うような仕草をしながら笑い飛ばすわたしに、菜々花は眉尻を下げている。

「敦瑠くんのこと気にならない?」

「それは……告白されているところを見ちゃったせいだよ。それに、もしわたしが敦瑠のことを好きだとして、敦瑠の方はわたしのこと絶対なんとも思わないから。だって友達って感覚強いし」

 そうだよ。敦瑠はわたしと一緒にいてもドキドキするわけないし、なにも変わらない。

 もしわたしにたいしてなにか特別な気持ちがあったとしたら、あんなふうに平然としていられないはず。