はじめての恋は、きみと一緒。

「去年、敦瑠先輩の学校の文化祭に行きました! そのときわたし、話しかけたんですけど覚えていますか?」

「あー……俺、お化け屋敷の宣伝で忙しくてさ。悪い、あんまり覚えてない」

 申し訳なさそうにそう答えた敦瑠に、女の子は「えーっ!」と残念そうな声を出していた。でも、すぐに他の話題に切り替えて話を展開する。

 それに対して敦瑠も笑っていた。

「敦瑠先輩、彼女いるんですか?」

「いないよ」

「本当ですか!? 意外です! 高校でも人気って先輩と同じ学校の友達に聞きましたよ」

「全然そんなことないから」

 ちゃんと受け答えしている。

 敦瑠だって男の子だし、かわいい子に話しかけられたら、それはうれしいよね。

 考えていたらもやもやしてきた……。

 おかしいな。わたし、またこの前みたいな気持ちになってる?

 焦りがじりじりと広がっていって、どうしていいのかわからないまま敦瑠を見ていたら……彼と目が合った。

 はっとして、思わず顔を逸らしてしまう。

「の、飲み物買ってくるね!」

 近くにいた友達にそう告げたわたしは、逃げるように通路を歩き出した。

 自分がさっきまで考えていたことがものすごく恥ずかしいことのように感じて、今すぐこの場から離れたくなったの。

 手の甲で口もとを隠してとにかく足を動かしていたら、後ろから手首を掴まれた。

 立ち止まって振り向くと眉を寄せた敦瑠がいる。

「え……ちょっと、女の子たちは?」

「お前が変な顔して急に離れていくから気になって」

 そう言った敦瑠は、掴んでいたわたしの手首をゆっくりと離した。

 変な顔ってなに!? でも、本当にわたしは変な顔だったのかも。

 どんどん嫌な気分になっていたし。