はじめての恋は、きみと一緒。

 沙耶の部屋は綺麗に片付いていて、真ん中の丸いテーブルを囲むように置かれたクッションに腰を下ろすと、彼女も隣に座った。

 そして少し間を置いてから俺は口を開く。

「昨日はごめん。険悪な感じになったよな」

「うん……わたしも、帰っちゃってごめんね」

 一日経っているから、お互いもう冷静だ。

 よかった、仲直りできて。

 ほっとした俺は腕を伸ばして沙耶の頭を撫でると、彼女の目が泣き出しそうに潤んでいった。

 ちょっと待て……!?

 いつも俺の前では強がる沙耶が泣きそうな表情を見せるなんて、もしかして今回のこと以外にもなにかあるのだろうか。

「沙耶、どうした?」

 俺に言いたいことがあるのなら言ってほしい。

 焦る気持ちを抑えつつ尋ねると、沙耶はうつむいて小さな声を出した。

「……わからなくて。はじめてなんだもん、誰かと付き合うの。前まで気にならなかったことが気になるようになって、いろいろ考えちゃう。わたしと付き合いはじめてから急にバイト増やして忙しいって言いはじめて……会いたいって気軽に言えないから、遊ぶ約束してる日を楽しみに待ってたのに、寝過ごされちゃうし……不安になって、でもこの気持ちをどんなふうに伝えればいいかわからないから、昨日みたいに変な態度になっちゃうし……」

 自分の想いをなんとかまとめようと言葉を選ぶ姿を見て、俺は沙耶を抱きしめた。

 考えるよりも先に体が動いていた。

 沙耶は驚いたようで、最初は肩に力が入っていたけれど、だんだんと力が抜けていく。

 そうか……。沙耶は不安で、俺が聞いたとき歯切れの悪い感じだったんだな。

「ごめんな。沙耶がそんなふうに思ってたなんて、気づかなかった」

「素直に話せなかった。わがままだって思われたくないし、嫌われたくないから……」

「それくらいで嫌いになるわけないし、沙耶のわがままなんてたいしたことないだろ」

「……面倒って思わない?」

「常識の範囲内なら平気。でもなにが窮屈に思うかはお互い違うだろうから、そういうのはどんどん伝え合おう。言いたいことは言ってほしい」