はじめての恋は、きみと一緒。

 こっちが悪いのは当然なんだけど、雰囲気が変なままだともやもやしてくるわけで。

「まだ怒ってる?」

「怒ってはないけど……」

 すっきりしない返答をした沙耶は、表情を変えずに切り分けたパンケーキを口へ運ぶ。

 怒ってはないけど、なに?

 言いたいことがあるなら言えよ、って口に出しそうになるのをギリギリ抑えた。

 喧嘩みたいなことはしたくないだろ、まだ付き合ったばかりだし。

 そんなことを思ってため息をついたとき、沙耶が俺の方を見た。

 なんなの、そのため息?と言われているような視線に、俺は心の中で〝まずい〟と呟いた。

「これ食べたら帰る。敦瑠、バイト忙しくて疲れてるでしょ?」

「いや、今日は疲れてねえし……やっぱり昨日のことまだ怒ってるだろそれ」

「だから怒ってるわけじゃないって! さっきも言ったよね!?」

「不満ありそうで、はっきりしないから気になるんだよ!」

 俺がそう言ったところでムッと口を閉じた沙耶は、たぶんもう怒っている。

 パンケーキの最後のひと口をさっと頬張って、財布から千円札と小銭を取り出し、テーブルの上に置いて立ち上がった。

「帰るから!」

 その瞬間は俺も「あっそ」と言ったけど、沙耶が店を出ていってから数分するとそわそわしてきた。

 まじかよ……喧嘩じゃん……。

 テーブル席でひとり、俺は額に手を当てて静かにため息をついていた。



「それで、俺に泣きついてきたのか」

「まだ泣いてねえよ!」

 呆れたような顔で見てくる絢斗に、俺は眉根を寄せながら反論した。

 あれから困り果てた俺は、どうか暇でいてくれ!と願いながら絢斗に連絡をした。

 バイトまでは暇だと言ってくれたので、お互いの最寄りから中間地点の駅で待ち合わせると、昼飯がまだと言っていた絢斗と近くのファーストフード店に入った。