太陽がじりじりと照りつける八月半ばの昼過ぎ。

 ファミレスのテーブル席で目の前に座る彼女、沙耶の不機嫌そうな表情にどうしたらいいのか、俺は必死で考えていた。

 沙耶は俺が中学のときから好きだった女の子。

 俺のことは友達としか思ってないだろうなって、ずっと気持ちを隠しながら沙耶の隣にいたけど。

 沙耶が男の先輩に声をかけられたのをきっかけに、伝えるつもりのなかった想いを彼女に告白してしまった。

 抑え込んでいた気持ちだったのに、あのとき告げてしまったのは……他の男に沙耶と取られたくないって思ったんだろうな。

 それから、沙耶も俺のことを好きだと言ってくれて、祭りの日から付き合うことになった。

 自然体で明るくて、元気で友達思いの女の子。

 友達としてそばにいたときはかわいいなんて思っていても言えなかったけど、付き合ったらそりゃもう、常に言いたいくらいだよ。

 一緒にいる時間が付き合う前からたくさんあったし、沙耶のことならある程度わかる。

 ……と、思っていたけど、この不機嫌は予想外だった。

 今まで長期休みにバイトを頑張るなんてことなかったけど、沙耶を楽しい場所に連れていってあげたいし、男なんだから金はないよりあったほうがいいに決まってる。

 そう思った俺はバイトのシフトを増やしてもらって忙しくしていたら、昼間に沙耶と出掛けて夕方はバイトの予定だったのに、寝過ごして会うことができなかった。

 それが昨日で、今日は一緒に昼飯食べようって誘ったんだけど。

 いつもならステーキとパンケーキですごく喜んでいるのに、全然笑顔にならない。

 もちろん、謝った。

 昨日のうちにちゃんと電話して謝って、今日も会ってすぐにごめんって言った。

 それでも不機嫌って、これ以上どうすればいいんだよ?