はじめての恋は、きみと一緒。

 一瞬心が落ち着いて、ずっと言いたかった想いが敦瑠の前で声になった。

 たった二文字を伝えるのにこんなにドキドキするなんて。

 心臓の音が騒がしくてじっと固まっていると、わたしの頬から手を離した敦瑠は「はぁー……」と脱力した。

「よかった……」

「そ、そんなに力抜ける?」

「だって俺、ダメかもってちょっと思ったから。最近気まずかったし」

 うつむいてからちらっとわたしを見た敦瑠が、なんだか子犬みたいで少し笑ってしまう。

 すると敦瑠は面白くなさそうな表情になった。

「笑うなよなぁ」

「だって……あはは、やっぱり敦瑠は敦瑠だね」

「……俺がお前のことどれだけ好きだと思ってるんだよ」

「わたしも負けないよ!」

 はじめて敦瑠に好きって言われたときは、自分の想いがどういうものなのかはっきりしていなくて戸惑ってしまった。

 でも今は真っ直ぐ伝えることができる。

 ちょっとだけ困ったような、照れているような笑みを浮かべた敦瑠がわたしの頭をそっと撫でた。

「俺と付き合って、沙耶」

 わたしは迷わずうなずいた。

 特別で、そばにいてもらいたい人。

 やっと想いを伝えられて、満たされた気持ちになって、うれしくて仕方がない。

「花火、もうすぐかな」

「そうだな。見えるところに移動しよう」

 お互い想い合ってこうして隣を歩けることが、とても幸せだなって思う。

 大切にしたい、一番大好きな人。

 敦瑠と目が合った瞬間、ちょっと照れながらふたりで微笑んだ。