海乃ちゃんは笑顔でそう言ってくれた。

 ずっと不安で、もしも海乃ちゃんに嫌われてしまったらどうしようってことばかり考えていたから、体の力が抜けるのと同時に涙がこぼれた。

 それを見た海乃ちゃんも、潤んでいた瞳から涙が流れる。

「もーう、泣かないでよ沙耶ちゃん! わたしまでつられちゃうよ!」

「だ、だって、嫌われちゃうかもって思ってたから……!」

「それはわたしの方だよ! ずるいこと考えて、沙耶ちゃんのこと悩ませて……性格悪いって思うでしょう」

「そんな……嫉妬しちゃう気持ちわかるし、正直に話してくれて謝ってくれたのに、嫌いになんてなるわけがないよ!」

 ふたりとも涙を流していたけど、すぐにふふっと笑みがこぼれた。

 同じようなことが他の友達との間で起こったら、嫉妬や許せない気持ちが混ざり合って友達じゃなくなってしまうかも。

 海乃ちゃんとわたしだから、こうして笑い合えているのかもしれない。

「ありがとう、沙耶ちゃん」

「こちらこそ。ありがとう」

 お互い穏やかな表情の後、海乃ちゃんが「帰ろう!」と言ったので、わたしはうなずきながら頬を緩ませて歩き出した。

 不安がひとつ、減った。

 そのおかげで心が少し軽くなって晴れやかで。廊下の窓の外、曇り空から覗いた太陽は久しぶりに眩しく感じた。