すると、ふと耳に入ってきたあの声。
柔らかい声
優しい声
品のある声
そして、甘い声……
山田さんだ…………
こんなにもたくさんの声の中から、山田さんの声だけがはっきりと聞こえる。
いつも電話口で聞いていたあの声が……今は直接、私の耳に語りかけるように。
私はパソコンに顔を向けたまま目を閉じてみた。
山田さんだ
山田さんだ
山田さんの笑い声
あ、初めて聞いた笑い声
あんな風に笑うんだ
とっても楽しそうな声
どんな顔して笑っているんだろう
見てみたいな……
山田さんの笑顔………
……ダメダメ!
我慢、我慢!!
う~お願い!!
早く会議室に行って~!
私はこのお祭り騒ぎが静まるのをじっと待った。

