………………。





そこには紛れもなく、王子様がいた。



オールバックにふんわりと固められた髪は艶やかにまとまり、その黒髪とは反して色白の滑らかな肌が際立って美しい。
優しそうな眉毛の下には、これまた優しく美しい瞳がこちらを見ている。スッと通った鼻筋に、口角がほどよく上がった唇には吸い込まれそうになる。


そんな美しすぎる山田さんが、濃紺の仕立ての良さそうなスーツを上品に着こなし、姿勢よく立つ姿に私はしばらく見とれていた。









すると、王子様は私の顔を見ると、ニコリと美しく微笑んだ。そして、綺麗で形の良いお辞儀をした。



『初めまして。習志野支店の山田です。いつもお世話になっています。やっとお会いできました。』



そう柔らかく甘い声で話すと、また美しく微笑んだ。







な、な、なんなの!
これが、これがあの山田さん……
美しく品があるのは声だけじゃなかったのね!

まるで私が勝手に想像していた
理想の山田さん……





ううん、それ以上!








「は、初めまして真嶋です………。いつもお世話になっています。」




これだけ、これだけ話すのが精一杯だった私。



でも、山田さんは私がまだ何か話し出すのを待っているかのように、じっと私のことを、美しい顔で見てくる。





うっ…………

これ以上、見つめ合うなんて……

ムリ!





私は山田さんの美しさに目眩すら覚えた。上手く呼吸も出来なくなっていた。





私は我慢ができず、山田さんから視線を外した。