菜乃花がドキドキしていると、ふわりとクーガーに抱き寄せられた。驚いて菜乃花はクーガーの胸を押すが、離そうとしない。

「何を照れているんだ?結婚すれば毎日こんなことはするし、それ以上のこともするんだぞ?」

「ま、待ってください!私はあなたとの結婚を承諾した覚えは……」

顔を上げた菜乃花だったが、スッとクーガーの指が眼帯に触れる。

「この目はどうした?怪我か?」

「い、いえ……。それは……」

菜乃花が答えるよりも早く、クーガーに眼帯を外されていた。アンバーの目があらわになる。使用人とクーガーが驚きの目を見せていた。

「生まれつき、目の色が違うんです」

何か言われるのではないかと菜乃花は身構える。この世界のことなど、何も知らない。思わぬことで殺されるかもしれないのだ。

「……綺麗だな」

クーガーの言葉に、菜乃花は目を見開く。そう言ってくれる人は、今まで家族や友達以外誰もいなかった。驚く菜乃花の手を、クーガーが優しく取る。