コンコンコン、とドアがノックされ菜乃花は体を勢いよく起こす。

「は、はい!?」

「失礼します」

部屋にぞろぞろ入ってきたのは、美しいドレスを持った人たちだった。服装からするとおそらくこの王宮の使用人だろう。

「えっと、これは?」

「クーガー様よりご命令です。さあ、お召し替えを」

あっという間に菜乃花は使用人に囲まれ、まるで映画に登場するお姫様のようなドレスを着せられた。ふんわりとレースのついた薄いオレンジ色のドレスだ。髪も綺麗にセットされる。

「あ、ありがとうございます……」

ドレスを着るのはスタジオで撮ってもらった時以来で、菜乃花は自分の姿に驚いてしまう。ドレスは菜乃花になぜかぴったりで、よく似合っていた。

「思った通り、よく似合っているな」

クーガーが現れ、「お似合いです」と口々に菜乃花を褒めていた使用人たちは離れていく。クーガーは菜乃花に近づいた。

「とても綺麗だ」

イケメンにそう言われ、菜乃花は顔を赤く染める。前に付き合っていた彼氏にこんなことは言われたことなどない。