二人が泊まった部屋は、とても狭くベッドも一つしかないものだった。旅人などが泊まる専用らしいので、狭いのは当たり前だ。

「そうだ。菜乃花に見てほしいものがある」

クーガーが上半身の衣服を脱ぎ始めた。筋肉のついた体に、菜乃花は思わず目をそらしてしまう。しかし、「見てくれ」とクーガーに言われ、恐る恐る彼の体を見つめた。

「えっ……。これは……」

クーガーの左胸に、タトゥーが彫られていた。桜の花のタトゥーだ。菜乃花はそっとそのタトゥーに触れる。

「俺は、お前しか愛せない。だから俺と結婚しろ」

菜乃花の口から笑い声が漏れた。クーガーが「今は真面目なところだぞ?」と菜乃花を見つめる。菜乃花は少し笑った後、言った。

「タトゥーを入れられたら、もう断れないじゃないですか。……こんな私でよければ、あなたのそばにいさせてください」

そう菜乃花が言った刹那、ふわりとクーガーに抱きしめられる。そして、「ありがとう」と言われキスを何度もされた。