「王宮の外を案内しよう」

そして、菜乃花は豪華な馬車にクーガーに乗せられる。馬車はゆっくりと街に向けて移動を始めた。



異世界の街は、当然菜乃花の住んでいる世界のものとは違った。中世のようなおしゃれな家々が並んでいる。

「すごい……。映画のセットみたい！」

菜乃花の言葉に、クーガーは時々首を傾げながらも案内をしてくれた。

「ここは色んなお店が並んでいる。何か気になったものがあれば言え」

市場には多くの人が集まり、賑わっている。その人々の服装は菜乃花の世界の人たちとは違ったもので、とても興味深かった。

そんな街の人たちは、クーガーを見ると一斉にお辞儀をする。クーガーはそれに対しにこやかに手を振っていた。

「クーガー様、隣の女性は？」

「ああ、私の妻になる人だ」

女性たちが黄色い悲鳴を上げ、羨望の眼差しを菜乃花に向ける。菜乃花は否定するのも疲れ、苦笑した。

「シャンソン、そろそろ予約時間に遅れるわよ」

「ああ、そうだな。そろそろ行かないとな」

そんな声が聞こえ、菜乃花は振り返る。すると若いカップルがあるお店に入っていくところだった。タトゥーのお店らしい。あちこちにタトゥーのお店がある。