好き、なんだよ。

「卒業おめでとう!」


「相澤がちゃんと卒業出来て良かったよ。お前1月は再試ループだったもんな」


「ま、そんな俺もちゃっかり文学部受かっちゃってますけどー」


「マジで内部じゃなかったらヤバかったぞ」


「いやー、小6の俺、ありがとう!」



なんてふざけている横で夏音は何やら黒板に書いている。



「夏音何やってるんだよ?」


「あぁ、お絵描きだよ。黒板汚してから卒業しようと思って。あっちの女子たちはメッセージ書いてる」


「んじゃ、オレもなんか書くわ」


「じゃ、俺も!」



何か書くと言っても書くことが思い付かない。


相澤は長々と書いてるようだけど、遠くから見たら見えねえだろ。


オレはまあ一言でいいや。


チョークで川の流れのようにさらさらと書く。


"ありがとう"



「なんだよー、それだけか?」


「別に良いだろ?」



オレと相澤が睨み合う横で夏音が春の日だまりのような微笑みを浮かべる。



「れおくんらしいよ」


「そうかな?香西はネチネチ恨みそうなイメージだけど。2年の最初とかもう最悪。嫌悪感丸出しって感じでさ...」



相澤の話を聞きながらオレは窓の外を眺めた。


まだ桜の木は蕾のままのようだった。