好き、なんだよ。

写真撮影も終わり、朽木はベンチに腰かけた。


オレは飲み物を買いにひとっ走りし、朽木がいなくならないよう、超特急で帰ってきた。



「よっ、お待たせ」



自販機で買ってきた缶コーヒーを差し出す。



「あっ...ブラックだ...」


「あれ?オレ間違ってた?」


「ううん。合ってる」


「だよな。お前、昔から甘いもん嫌いって公言してるもんな」



なんだよ。


ビックリさせんなよ。


さっきから手探りだから、心臓が弱ってきた。


朽木は寒さに凍える手で蓋を開け、一口口に含む。


あぁ、懐かしい。


って、さっきからそればっかだな。


それだけ今まで溝があったってことか...。


まぁ、でもここにこうしていられて、


2人で座ってまたコーヒーを飲めるようになったんだから、良かったんだよな。


オレの記憶の蓋がまた音を立て、思い出が溢れ出した。


1年の秋頃も、お互いバイトまで時間があると、中庭のベンチでコーヒーを飲んでいた。


コーヒーが売り切れの場合はお汁粉だったり、コーンスープだったり。


ゲームして負けた方が罰としてお汁粉を飲むとか、そんなくだらないことをやったりもした。


あの頃は......楽しかったな。


朽木と話してるのも、


朽木と同じ空間にいるのも、


楽しかった...。


そう...


楽しかったんだ。