好き、なんだよ。

「あっ、すいません!写真撮ってもらえませんか?」



オレは近くを通りかかった60代くらいのおばさんに話しかけた。



「あらカップル?仲良しね~」



おばさんにはどう見てもカップルに見えるだろう。


数ヶ月前までかなり深い亀裂があったなんて思いもしないはずだ。


色々と想定外だが、今日もここで生きてる。


それは確かだ。


そして、今、オレの視界には、


朽木奈和がいる。


それもまた事実だ。



「はーい、じゃあ撮りまーす!ほれ、そこの美人さん、もっとイケメンに寄って」


「いや...」



だから、躊躇すんなってーの。


オレは朽木の肩を抱き寄せた。



「えっ?」


「大サービスだ。ちゃんと笑えよ」



笑ってくれよ。


じゃないと、


オレが救われねえよ。


お願いだから、


これ以上


こんなに苦しい呼吸を


繰り返させないでくれ。


オレが密かにそう願っていると、おばさんがオレたちにカメラを向けた。



「あら、いいじゃない。じゃあ...はいチーズ!」