好き、なんだよ。

―――ガシャリ。


ドアを開け、中に入る。


物音を聞いて顔パックをしたまま母が出てくる。



「奈和、お帰り。お風呂沸いてるからちゃっちゃと入りなさい。その間に夕飯の支度しておくから」


「夕飯はいらないっていっつも言ってるじゃん。バイト前に食べてるから大丈夫。で、これ。明日のお弁当にでも入れて。また大量にもらっちゃった」


「あらら、またこんなに。お腹空いたし南瓜コロッケでも食べちゃおうかしら」


「どうぞご自由に」



母がルンルン気分で鼻歌を歌いながらリビングに向かっていく。


昔流行ってた歌なんだろうけど私は分からない。


いつも決まってその歌だからもう聞きあきたんだけどな。


靴を揃え、手洗いうがいをしてから2階に上がった。


端っこの小さな7畳間が私の部屋だ。


良くありがちな、ドアに名前プレートをかけるってのは面倒くさくてしてない。


私は1人っ子だし、他はほぼ父の部屋だからわざわざ示す必要もないのだ。


父は良く出張にいくけど、毎回お土産を買って来てくれるし、出張と偽っていけないことしてるわけでもないみたいだから、とても優しく健全な父...なはず。


母は数年前から某乳酸菌飲料メーカーの販売員をやっていて、家には常に乳酸菌飲料が数種類常備されている。


昔は、たまに販売員のおばちゃんが保冷バッグを持ってやってくると、120ミリ容量の乳酸菌飲料のブルーベリー味が好きで、良く母に買ってもらっていた。


母が販売員になってからはほぼ毎日乳酸菌飲料を飲むようになり、免疫力がついたのか風邪1つひかなくなった。


母に感謝だ。