好き、なんだよ。

彼は実に飄々と走っていた。


小学校の運動会のリレーの選手を6年間もやっていたから堂々としてる。


それになんと言っても速い。


軸がぶれず、手も足の回転も速く、ドーピングを疑われても無理ないくらいにひゅんひゅん加速し、あっという間に1位に躍り出て2位との差を広げる。


そして私の方に向かってくる。


ラストの直線。


風を浴び、歯を食いしばって前に進もうとするその姿は、私が好きだった彼の姿そのものだった。


思い出の箱の1番下にしまった彼を懐かしんではいけない。


なのに、


私は......。