好き、なんだよ。

――ガラガラ。



教室のドアが開き、私は顔を上げた。


そして目を見開いてその姿を追った。



「夏音ちゃん大丈夫?」


「どうしたの?」



彼におぶられ、グッタリする栄木さん。


どう見ても大丈夫なんかじゃない。


カメラを手に取り、教室を出ようとしたのだが、気になってつい話を聞いてしまう。



「さっきリレーの練習してたら派手にこけて足捻っちゃったんだ。で...リレー出られなくなっちゃった...」



そう、なんだ。


運動は苦手だと言いながら、なぜか足は速い。


そんな不思議な矛盾を生んだのは、他でもなく母親の影響。


授業中に、かつてお母様が短距離走の選手だったと言っていた。


そして、今回、栄木さんは50メートル7秒台の高記録をたたきだし、選手に選ばれていた。


一緒に走るはずだった彼もガッカリ感を拭い切れないだろう。



「足速い人ってあと誰だろ?」


「うちバスケ部だし、そこそこ速いと思うけど代わりに出よっか?」