好き、なんだよ。

最初の被写体は絶対由紀ちゃんと決めていた。


由紀ちゃんが100メートル走に出るから、私は校庭に走っていった。


由紀ちゃんがスタートラインに立ったところで、私はカメラを構えた。


レンズを覗き込み、ベストな瞬間を狙う。



「位置について、よーい...」



パンッ!



まるで風船が弾けた時のような音が鳴った。


由紀ちゃんの一瞬の輝きも逃さないよう、連写する。


由紀ちゃんが見事1位でフィニッシュし、私は拍手を送った。


写真を確認しても良く撮れている。


これはなかなかの上出来だ。


輝いた一瞬が永遠の1枚になるってすごいな。


それを撮れるようになった私もすごい。


試しに自分を誉めてみた。


自分をけなしてばっかじゃ可哀想だからね。


自己肯定感、だっけ?


それが下がらないようにしなきゃね。


自信を持つんだ、奈和!


私は有頂天のまま、校庭を後にしたのだった。