好き、なんだよ。

「あら、久しぶりねえ。玲音くんでしょ?」


「あっ、えっと...。朽木奈和さんの...」


「やだあ、覚えててくれたの~。引っ越したから忘れちゃったのかと思った」



まさかの朽木ママと遭遇。


このままでは挟み撃ちになる。


マジで速く逃げないと。


はあ、来るんじゃなかったわ。



「あの、オレもう帰りますんで失礼します!」


「えっ、ちょっと待って。な~お~!玲音くん!」



おいおい止めてくれって。


オレはもう待つしかなかった。


朽木が来るのを。


カタカタと下駄の音が近づき、オレの背後で止まった。


ゆっくりと振り返ると、ばっちり目が合った。



「あのさ、口にソース付いてるよ」


「えっ?」


「あら、やだ。も~玲音くんたら可愛いわね~。はい、これで口拭いて」



オレは完全に朽木親子に包囲されてしまい、逃げ場を失ったのだった。