好き、なんだよ。

夏休みは特に何もすることがなかったオレはバイトに明け暮れていた。


たまにバイトが休みになると母さんの病室を訪ね、病状を探っていた。


いつ行っても母さんの顔は青白く、やつれていた。


抗がん剤の影響で髪の毛は全て抜け落ちたというのに、一向に良くなる様子がない母を見て、切ない気持ちだけが募っていった。


何も出来ない自分の無力さにうちひしがれる時もあったが、母さんはオレが行くと必ずこう言ってくれた。



「玲音、お姉ちゃんとお母さんを守ってくれてありがとう。頑張り屋の玲音は頑張りすぎないでゆっくり自分のペースで歩けばいいのよ。...大丈夫。お母さんが玲音を信じるから」



その言葉にオレは救われた。


自分が父さんの代わりに家族を守れているのか、常に不安だった。


だけど、母さんの言葉がオレに自信と勇気をくれた。


母さんの言葉の温もりを感じながらオレは夏を精一杯駆け抜けた。