好き、なんだよ。

ロッカーから靴を取り出そうとしていると、ちょうど吹奏楽部が終わったのだろう。


ちらちらと楽器ケースを持っている人たちを見かけた。


ぼろぼろになるまで履き潰したお気に入りの黒いスニーカーを乱暴に投げ捨た。


ひとまずそれを履いて夏音を待つことにした。


何もしないのも退屈だから、音楽でも聞くか。


スマホをいじり、最新曲をチェックする。


普段電車に乗る時も音楽は聞かないし、通常は自転車通学だから音楽とはそれほど距離は近くない。


むしろ疎い方で、流行音楽好きの夏音に話を合わせるために聞いているだけだ。


直感で嫌だなと思った歌は開始数秒で切るし、逆に気に入ると何回もリピートしてその曲の世界観に浸ってしまう。


はあ、


なんかねえかな...。


と一生懸命スクロールしていると、天使の声が耳をすり抜けた。



「れおくん、どうしてここに?」


「勉強して夏音のこと待ってた。一緒に帰ろうぜ」


「うん!」



オレの嘘も疑うことなく飲み込む夏音は、素直過ぎて逆に目が離せない。