あんなことがあったというのに、日常が戻れば元通りになる。



「おはよう、朽木さん」


「おは...」


「おはよう、れおくん。あのね、今度の大会なんだけどねぇ...」



栄木さんは何があろうと私に挨拶をしてくれる。


それはありがたいことなんだけど、義務的にやっているように思えてならない。


本当に話を聞いてほしいのは私の後ろの彼だけなのだから、無視してもらって構わないのに。