好き、なんだよ。

気づいた時には歩き出していた。



「なお~、ちゃんとやってるか?」



と言いつつも、気になってしょうがないのはこっちだ。


朽木の指を確認したが、切れている様子はない。


ならさっきの涙はなんだ?


気のせいだったのか?


そして、相澤のライバル、樋口春樹。


気に入らない手さばきだった。



「ちょちょちょ、ちょっと待て。両手使って絶えず混ぜながら炒めないと均等に火が通らねえよ。貸してみ」



料理を家でもするオレにはこのテキトーな炒め方が許せなかった。


しかし、樋口は一向にヘラを貸さない。


両手に持って自分で混ぜている。



「こういうのはコツがあるんだよ。ちょっとだけ貸してくれよ」


「もう出来上がるからいい」


「いやぁでも、もうちょいしんなりした方が...」



と言ってるうちに樋口は取り分け始めた。


朽木が急いで紙皿を用意する。


なんだよ。


なんなんだよ。


この、阿吽の呼吸みたいな感じは。


気に入らねえ。


すっげえ気に入らねえ。