好き、なんだよ。

と、また嫌な思い出をぶり返そうとしたところで相澤が叫んだ。



「うわっ!」


「なんだよ急に」


「くちなおが樋口くんと...」



相澤の指差す方へ視線を動かすと、2人がオレの視界を占拠した。



「いつの間に...。くっそ」


「いや無いだろ。朽木モテないし」


「そういう問題じゃない!」


「おい、落ち着け。あいつらは同じ部活だから仲がいいだけだ」



と言って一生懸命宥めようとしたのだが、相澤は取り乱したままだった。



「ならオレも放送部に入ってやる。くちなおを一人占めなんて許さない!」


「一人占めしたいなら頑張ってコクれよ」


「コクりたいけど、相手が相手だ」


「どういうことだよ、それ」


「誰にも言うなよ」



相澤がこそこそ耳打ちしてくる。



「樋口くんはバレンタインデーに伝説を残した男なんだ」