好き、なんだよ。

なんて思い出に耽っていると、うとうとし始めた。


あいつみたいに眠ってたまるかとちらっと夏音の奥を見ると、案の定夢の中に行っていた。


他の女子も眠っている人はいるが、タオルをかけたり、アイマスクをしたりしている。


なのにあいつは無防備だ。


らしい、な。


あいつらしい。


飾らないのは、昔からだ。


後ろから相澤のスマホのシャッター音が鳴る。



「よっしゃ、撮れた!」


「相澤くん、朽木さんのこといっつも見てるよね? 好きなの?」


「申し訳ないけど、俺はなんと言おうと朽木奈和、通称くちなお推し。ちなみに1たい9で栄木さん勝ってるよ」



ったく、変態野郎だな。


どこ情報だよ、それ。



「クラスの男子18人にスマホでアンケートしたところ、俺と樋口くんがくちなお推しで、その他全員はさかなお推しって結果になった」


「お前、オレの知らないところで勝手に遊びやがって...!夏音で遊ぶな!」



オレは怒り狂って相澤に飛びかかりそうになったが、シートベルトのお陰で制御された。


シートベルトを真面目にしていなかったら、ぼこぼこにしていたはずだ。


感謝しろ。



「れおくん、わたしなら大丈夫だから。好かれてるなら良いことだし、どっちにしろわたしはれおくんの心しか興味ないよ」



それ、正解。


本当に良く出来たカノジョだ。


夏音がカノジョであることに誇りを持つよ。



「よーし、そろそろ着くぞ!皆、下りる準備しろよ」



先生の一言でその場はお開きとなった。