好き、なんだよ。

「いつまで笑ってんだ!いくぞ」


「あっ、ちょっと待って」


「は?行くっていってんだ。早く立て」



ここまで来て置いて帰ろうとする彼に、私は右手で泥を掴み、背中を目掛けて投げつけた。



「は?お前...は?!何してんだよ!オレの大事なジャージを...。ふざけんな!マジで置いていってやる!この犯罪女!2度と顔見せるな!」



と吐き捨てて行けるような人ではない。


ちょっと行って引き返してくる。



「なんだよ。言うことあんだろ」


「1回こっち来てくれませんか?」


「んだよ、急に。敬語使うなんてらしくねえぞ」


「顔に泥ついてるからこれで拭いていいよ」



私はあのハンカチを差し出した。


ちょっと試したんだけど。



「ありがと」



...ダメだった。


でもいいや。


助けに来てもらえただけありがたい。


というか、彼を探しに行った私を探しに来たってことか。


2人してバカみたい。


お互い困っている人はほっとけないタイプってことにしておこう。



「たぶん途中で先生が来ると思うから、待ってよう。私、足挫いて動けないし」


「あっ、そっか」



彼は正解にやっと気づいたようだった。