好き、なんだよ。

移動後にも長々と説明があったが、なんとか時間通りに始まった。


始まってみて、やはり痛感してしまった。


栄木さんは戦力外だった。


野菜はなんとか切れるものの、切り方は雑だし、火傷させるのも可哀想ということで、遠くから見守ったり、焼きそばの袋をひたすら破いたりする仕事をしていた。



「朽木さんごめんね。女子はやっぱ料理出来なきゃならないのに、なんにも出来なくて」


「マシュマロは大丈夫だよね?」


「うん、頑張る」



マシュマロだけは頑張ってもらわないと。


私は嫌いだから見るのも嫌なのだ。



「夏音ちゃんって面白いよね。茄子のヘタ取らないでまるごと焼こうとした人初めて見た」


「俺も俺も!」


「串に刺して火に当てておけば全部焼けるかなって思って...」


「マジで?」



――可愛すぎるな。


最後の1言まで私には聞こえてますよーだ!


ったく、だらしない男子達だ。


ニヤニヤしてないで手を動かせ、手を。


怒鳴りたくなる心を抑えて私はせっせと手を動かす。


私だって普段はほとんど料理しないし、指を切る心配さえしてもらえないから必死にやってるんだ。


火傷とか気にしなくていいからね、ブスは。


ブスで良かったよ。


と心の中で自虐しながら作業をこなしていく。