私が話し始めると、恵弥くんは
真剣な表情で私を見つめた。
聞いてくれるんだろうか。
「その頃の私は、今とは違って活発で、
言いたいこともはっきり言えるような女の子だった。
それなりに、みんなから慕われてもいた。
今の恵弥くんのように」
今とは正反対で、こんな私から昔の私なんて
想像も出来ないと思う。
あの頃は、元気で活発で、全てが上手くいっていて、
それなりに満足した生活だった。
大げさに言うけれど、望めばなんでも手に入った。
友達も、自分の立ち位置も、全部。
「中学2年の夏、親友に相談されたの。
いじめられていて苦しいって。
私は当然その相談に乗って、
いじめている子たちにはっきり言ってやった。
いじめはよくないって。
でもそれだけじゃなかった。私……」
そこで言葉を区切って、目をきつく閉じる。
体が震えてきた。
これから真実を話そうとすると体が拒否反応を起こす。
引き返せるなら今だ。
嫌われてしまわないように隠せばいい。
でも、話さなきゃ。
だって彼は、こんな私を見ていてくれるんだから。
恵弥くんが、そっと私の手を握った。
冷たい手が、気持ちいい。
震えが少しずつ収まってきて、
詰まっていた言葉が落ちてきた。


