読めないあなたに小説を。




恵弥くんを見上げると、
彼は耳まで真っ赤にさせて空を見続けていた。


かわいいと言われて、私も赤面する。
すると、恥ずかしいはずなのに、恵弥くんは
空から視線を変えて私をじっと見た。


気だるげな瞳が、揺れている。
何故か怖い顔をしていたけれど、
それはきっと恥ずかしさを必死に抑えているからかもしれないと思ったら、
なんだかかわいく見えてきた。


「多分、そんときから、俺はお前が好きやった」


「あっ、ありがとう……」


「ほんまは言うつもりなかったんじゃ。
 でもお前が、泣いてたから」


そう言って、彼は私の目元を拭った。
触れられた部分が熱い。
私を見る恵弥くんの瞳が熱っぽくて、
なんだかとても妖艶だった。


吸い込まれそうな瞳を直視できなくて、逸らしてしまう。
それでも、恵弥くんをちらちらと見てしまうのは、
もう彼の術中にはまってしまったから。


「俺はさ、お前の病気のこと、なんも知らんからさ。
 だからさっきお前が言ってた、私の何が分かるっていうの?っていう言葉、
 言われて当然やと思う。
 でもさ、俺はお前のことが知りたい。
 そう思うんは、迷惑か?」


問われて考える。
迷惑なわけない。
そう言ってくれるのはとても嬉しい。


だけど、彼は私の過去を知っても、離れないだろうか。
真美ちゃんに酷いことを言って死なせてしまった最低な私。
いじめられて学校から逃げた情けない私。


そんな私を知っても、彼は変わらずここに立っていてくれるだろうか。


それが怖かったのに、私の唇は、
微かにだけれど、動いていた。



「私には、親友がいたの」