どれくらい経ったのかな。
随分長いこと苦しんでいた気がする。
息をするのもままならないし、
涙がどんどん溢れてくる。
本当に、もう死んでしまいたかった。
「幻覚、幻聴、妄想、自我障害」
突然、恵弥くんが言葉を放った。
一瞬訳が分からなくて戸惑ったけれど、
ゆるゆると理解していく。
これは、私の病気の症状だ。
「精神疾患で、脳の病気……」
ポツリ、と続けて呟いた。
その言葉が静まり返った空気へと消えると、
恵弥くんが立ち上がる気配がした。
「お前……っ。なんで病気のこと言わねぇんだよ!」
「ほっといて……」
「ほっとけねぇよ!こんな辛い病気、
なんで打ち明けなかったんだよ!」
そんなの、決まっている。
私は臆病者だから。
ただ、あなたに嫌われることが怖かったの。
鼻で笑うかと思った。
いつかのように、「くだらねぇ」って一蹴されると思った。
呆れてすぐに部屋を出て行くのかと思った。
でも、恵弥くんは「ほっとけない」と言ったんだ。
「紫月」
肩を掴まれて、優しく揺さぶられる。
私を呼ぶ声があまりにも優しい声だったから、
思わず顔をあげた。
その瞬間、はっと息をのむ。
呼吸の仕方を忘れてしまったみたいに、一瞬だけ止まる。
目の前にいた恵弥くんの顔は、
私よりも辛そうだった。


