読めないあなたに小説を。




最後に亜依ちゃんが放った言葉は、
憎しみの色を孕んでいた。


ぐらりと世界が揺れる。
3人が屋上から去って行っても、
私はその場を動けなかった。




どうやって屋上から出てきたのか分からない。
気付くと私は保健室まで来ていた。


松村先生が優しく私を迎えてくれたけれど、
私の様子がおかしいことに気付いた先生は一度だけ、
どうしたの?と聞いてきた。


首を振るだけの私を、
それ以上詮索することはせずにベッドに寝かせてくれた。


心臓がバクバク鳴っている。
嫌な汗は変わらず流れてくる。


目をぎゅっと閉じて、
眠ってしまおうと思うのに、眠れない。


怖い。嫌われるのが怖い。
もう私は、教室に行くことが出来ない。


私はまた、変われなかった。
また、失敗したんだ。


「朱莉ちゃん、大丈夫?こんな時だけれど、
 この間提出してくれた診断書、返却するわね」


先生は言うけれど、顔を上げられない。
枕に顔を埋めた私は、頷くことしか出来なかった。


「ここに置くわよ」と私の枕元にカサっと
診断書が置かれた音がした。


統合失調症という病気を宣告する診断書は、
今は私の重りでしかない。


ドクドクと心臓の音がうるさい。


気持ち悪くて、寝ているのもしんどくなる。


今日は最悪なことに、朝ごはんを抜いてきたから、
更に具合が悪い。


胃に何も入っていないのに、
胃液が喉のところまで駆け上がってきていて、
喉がヒリヒリ焼けるよう。


目に涙を浮かべて視界を遮断していた。