読めないあなたに小説を。




「す、好きじゃないよ」


「じゃあ、どうして手なんか握っていたの?」


今度は桜ちゃんが聞いてきた。


手?いつのこと?
最初は訳が分からなかったけれど、
合宿の時のことを思い出した。


そう言えば、集合写真の時に恵弥くんに手を握られた。
もしかしたら、それが写っていたのかもしれない。


「好きじゃないなら、亜依が見るって分かってて、
わざとあんなことしたの?」


「ち、ちが……っ、そんなんじゃ……」


慌てて首を振る私を、
亜依ちゃんは潤んだ瞳で見つめていた。


唇をきつく噛みしめている。


やっぱり、あの集合写真のことを言っているんだ。
そう言えば、写真を選んでいた時に
亜依ちゃんが悲しい顔をしていたのを思い出す。


あれは気のせいなんかじゃなくて、私のせいだったの?


「酷いよ、朱莉ちゃん。男子の部屋に行った時だって、
 恵弥くんのベッドに隠れてたし」


「あ、あれはたまたまで……っ、わざとじゃないの」


「ツーショットだって撮られてた。
 2人で、見つめ合ってて……なんなの?」


頭が真っ白になった。
どんな言い訳も通用しない。


私のせいで、1人の女の子が傷付いている。


浅はかだった自分の行動を呪いたい。
どんなに心の中で嘆いたって、時間は戻せない。
私は、どうすればいいのだろう。