読めないあなたに小説を。




「写真、買ったか?」


「へっ?」


恵弥くんが話しかけてきたので、
スマホから目を離して彼を見る。


写真って、合宿のやつかな。


「買ったよ。3枚だけ」


「へえ。加賀の写真とか?」


「えっ?」


どうして加賀くんなんだと思う。
加賀くんとは合宿1日目に少しだけ喋っただけで、
仲いいとかは別に……。


「加賀くんの写真なんか買わないよ?どうして?」


「なんも。どうせ自分の写真でも買ったんやろ」


「だ、だって!誰も買わないだろうし……」


最後の方は声が小さくなってしまう。
もごもご呟いている私を、恵弥くんは笑った。


笑うなんて酷い。
恵弥くんはみんなの憧れだから、
きっとみんなが買うだろうけれど、
私は誰にも買ってもらえないんだから、
自分で買うしかないじゃん。


「あっ……」


でも、私に「かわいい人」と「優しい人」に
1票入れてくれた人は、
私の写真を買ってくれるかも……。


「なんや」


「ううん。私の……人気投票、
 誰が1票入れてくれたのかなって思って」


「……そういや、1票だけ入ってたな」


ふっと笑う恵弥くん。
なんかバカにされてる?


むぅ、と脹れると、恵弥くんは私を見た。


「誰だろうなぁ、そんな優しい人」


「血迷ってんなぁ、そいつ」


「なによ。恵弥くんは人気者だからいいよね。
 私にはその1票が貴重なんだから」