自分の席に座ってスマホで【いちご水】のサイトを開く。
「君を待つ人」の続きを読むことにした。
好きな人が病気を抱えていることを知って、
ショックを受けるところまで話は進んでいた。
小説にはよくあるような話だけれど、
言葉運びが上手い。
上手に涙を誘ってくる。
「それでも私は、あなたのそばにいたい」
主人公がそう言って好きな人の手を取る場面がある。
本当にそう言えれば美しい話。
私ももしも好きな人が出来て、
その好きな人が何かしらの病を抱えていたら
そんな風に言ってあげたい。
きっと言えると思うんだよね。
こんな素敵な話に憧れているから。
涙がじわりと滲んできた時、
隣に恵弥くんが立った気配がした。
見上げると、赤い髪が見える。
恵弥くんは飴玉を咥えていた。
「あっ、それもしかして……」
「当たり。柚子味や」
「どう?美味しい?」
聞くと、恵弥くんは考え込むように天井を仰いで、
それから着席した。
「まあ、なんや。割と美味い」
「良かったぁ。嫌いだったらどうしようって思って」
ふっと鼻で笑って、スマホを見る恵弥くん。
もう会話は終了かと思って、私も小説に視線を落とす。
主人公の女の子を、「ほっといてくれ」と突き放す彼。
それでも女の子は、そばにいることをやめないと言った。
この先、彼はどうするんだろう。
続きがとっても気になって、ページを捲る手を止められない。
もう涙が止まらないよ。


