読めないあなたに小説を。




その声にみんな驚いてあたふたする。
とりあえず男子のベッドに1人ずつ潜りこんでいく。


どうしよう、と挙動不審になっていると、
誰かに腕を引っ張られた。


そのまま後ろに倒れ込む。
シャッとカーテンが閉まって、
ベッドの奥へと押し込まれた。


誰かが助けてくれた、
と思ってその男の子を見ると……。


「け、恵弥く……」


「しっ」


口を大きな手で塞がれる。
寝ていたはずの恵弥くんは、
私に布団をかぶせると自分もその隣に寝た。


息をひそめていると、すっと扉が開いて先生が立つ。
「寝てるかー?」と声が聞こえた。


心臓がバクバクしている。
早く行って。見つかったら怒られてしまう。
どうしようと焦りだけが爆発する。


震える私を、恵弥くんは優しく抱きしめた。


恵弥くんの胸の中で小さくなる。
先生がしばらくそこにいた。


寝ていることを確認したのか、
はたまた起きていることは分かっているのか、
「ちゃんと寝ろよ」と声を残して、扉の閉まる音がした。


私の心臓は、まだバクバクしている。


恵弥くんを見上げると、ふいに目が合った。
そのまま見つめ合う。
時間が止まったみたいだった。


「……あっ」


「いやー、ビビったわ!」


工藤くんが大きな声を出した。
それを合図に、みんなが起きる。


恵弥くんは私から離れて、そっぽを向いた。


「もう行け」


「あっ、ありがとう……」


とりあえず出てきた言葉はそれだけで、
慌ててベッドの中から出た。


亜依ちゃんは工藤くんのところに隠れていたみたいで、
工藤くんと何か言い合っていた。


工藤くん、本当に亜依ちゃんが好きなんだなぁ。


「やばいよ。女子部屋も見回り来てるかも」


「もう戻ろうか」


「朱莉ちゃん、行こう」


「う、うん」


恵弥くんのベッドを見ると、
もうカーテンが閉まっていた。


そのカーテンを黙って見つめる。


加奈ちゃんに背中を押されて、私は部屋を出た。













ここが、きゅーん?