スマホを取り出してブックマークをつけたサイトを開く。
いつも使っている小説投稿サイト【いちご水】。
そこから読者メニューを選択して、小説検索をかけた。
「泣ける」「感動する」「切ない」の3つのキーワードで探していく。
すると何件もヒットした。
その中からピンとくるタイトルを吟味していく。
「君を待つ人」と言う恋愛小説が気になって
【始めから】というボタンを押した。
文体もキャラ設定も好きな感じだった。
読みやすくてスラスラ目が動いていく。
これは久しぶりに当たりかもしれないと
ワクワクしながら読み進めていった。
去年、広告でこのサイトが大人気急上昇という動画を見つけて、
試しに1作品読んでみたことがあった。
その作品はいきなり大当たりだったので、
読み終えた時、不思議な高揚感に包まれた。
どうしようもない悲しみと、
溢れんばかりの幸福とが入り交じり、
それは感動と表すのか、泣けると表すのか、切ないと表すのか、
どれも少しずつ違う気がしたけれど、
気が付けば私は涙を流していた。
ひとしきり泣いた後、静かな微笑みが訪れていた。
こんなにも心を揺さぶられたのは初めてだった。
その作品は私の心の中のドアを唐突にノックして、
優しい手でこじ開けたのだ。
すぐにレビューを投稿した。
作者のことが気になって、プロフィールを見た。
沢山の小説を書いていて、どれも面白く感動するものばかりだった。
その時ふと、思った。
私も、こんな風に小説を書いてみたい、と。


