「ねぇ、分かった?恵弥の好きな人」
「う、うん。名前までは分からなかったけど、
このクラスの誰かなんだって」
私が言うと、みんなはきゃー!と声を上げた。
先生に注意されることが怖かった私は遠慮がちに
「しー」と人差し指を立てた。
それを見たみんなはヒソヒソ声に切り替えて、話し始めた。
「意外にも、近くにいたんだね」
「誰だろう、気になる」
「あっ、6文字って言ってたから、
もしかしたら櫻田さんかも……」
私の言葉に、櫻田さんは顔を赤らめて頬に手を当てた。
なんて女の子らしい反応。
私もこういう風になりたい。
「そうかな、照れる。
聞いてくれてありがとう、朱莉ちゃん」
「絶対櫻田さんだと思う。かわいい子?って聞いたら、
すごくかわいい子だって言ってたから」
「やだ。そう言われるとますます照れちゃう。
ていうか、亜依でいいよ」
「私のことも、加奈でいいよ」
加藤さんが続けて言う。
木下さんも続けて、「桜って呼んで」と言った。
「あ、亜依ちゃん。加奈ちゃん、桜ちゃん?」
「そうそう。なんか、本当の友達になれたって感じ」
みんなで笑い合う。
亜依ちゃんがスマホを取り出して、
連絡先を交換しようと言ったので、
私もスマホを起動させてQRコードを読み取る。
写真を撮ろうと桜ちゃんが言い出して、
みんなで写真を撮った。
すぐにそれを送ってくれて、
さっそくカメラロールに保存した。
憂鬱だと思っていた合宿だったけれど、
来てよかったと心から思う。
友達を作れたことに感激して、
すぐに誠治さんに伝えたくなった。


