読めないあなたに小説を。







夜になって、クラス毎にお風呂に入っていく。
古いお風呂だったから男子風呂の声も筒抜け。


覗こうとしていた男子がいたみたいで、
他のクラスの先生に叱られていた。


私はなんとなく他の人と一緒にお風呂に入るっていうことが慣れなくて、
すぐに上がってしまった。


冷風しか出ないドライヤーで半分だけ髪を乾かして、
部屋に向かった。


途中で、お風呂上りの恵弥くんに遭遇した。


赤い髪は濡れたまま。
彼は棒付きの飴玉を咥えていた。


「そ、それ……」


「ああ、お前に貰ったやつやねん。
 勿体ねぇから食った」


「も、持ってきてたの?」


「あかんのかい」


「あ、あかんくない!」


大きな声でそう言うと、恵弥くんは驚いたように目を見開いて、
それからプッと吹き出した。


「お前、あかんくないって……
 半端に関西弁うつっとんか?」


「つ、つい……」


「イチゴミルク味。結構イケんで。サンキューな」


「あっ、じゃ、じゃあ……」


ジャージのポケットに忍ばせておいた飴玉を取り出して、
恵弥くんの手に握らせた。


彼は手の中の飴玉を見つめている。
黄色い包みの飴玉だった。