読めないあなたに小説を。




―紫月朱莉 1票





「えっ?」


見間違い……じゃないよね?
確かに、私の名前が書いてある。


「かわいい人」だよ?一体誰が書いたの?
私なんか目立たなくて、誰も見ていないと思ったのに。


そもそも私は誰が見てもかわいいとは言えない。
それなのに、1票入っているのはどうして?


ドクドクと胸が高鳴る。
変な汗が流れてきた。
どうしよう、嬉しい。


誰が入れたのか探したい。
私を見ていてくれた人は誰なんだろう。


次の質問に移った。次は「優しい人」。
これは票が割れた。


最高票数を勝ち取ったのは3票の阿部詩織さんだった。
恵弥くんの名前を書いたのは私だけだったみたいで、
1票だけ入っていた。


みんな恵弥くんの優しさを知らないんだと驚いたけれど、
それよりも驚いたのは、
また、私の名前を見つけたからだ。


なんで?私を見ていてくれる人がいるの?
この企画で名前が挙がることが信じられなくて、
不思議な気持ちでいた。


男の子かな、女の子かな。
今すぐその子にお礼が言いたい。
それくらい、嬉しかった。


じわりと涙が滲む。
こんな私でも、誰かの目に留まっている。
たったの1人かもしれないけれど、
このクラスの中に1人だけ、
私を見ていてくれる人がいるっていうことが嬉しかった。