読めないあなたに小説を。




びっくりしてつい声をあげてしまった。


このクラスにいるの?


このクラスは女子が14人。
14分の1の確率。
私はないとして、13分の1だ。


「6文字」


「名前がってこと?」


「そう」


すぐに浮かんだ。
「櫻田亜依」の文字が6文字だということ。


まさか、櫻田さんのことを好きなのかな。
だったら、両想いじゃない。


「そ、そうなんだ。その子、かわいい?」


「えらいかあいらしい子ぉやねん。
 去年初めて会った時から好きやった。
 俺の片思いやけどな」


去年ということは、同じクラスだった
櫻田さんしか思い浮かばない。


他にも同じクラスだった子はいるかもしれないけれど、
もうそうだとしか思えない。


胸の中がわくわくするようでドキドキしたけれど、
チクリと痛んだような気もした。


あれ?なんで?


「お前は?好きなやつ、いんの?」


「私は……いないよ」


「ふうん。あっそ」


私には好きな人がいない。
けれど恵弥くんにはいる。


なんだか彼が自分よりもすごく大人な気がしてならない。


私に好きな人がいるのかどうか、
聞かれたけれどさほど興味もなさそうな返事に少し悲しくなる。


私だって女の子だし、こういう話をしてみたいと思う。
でも、その肝心な好きな人がいないんじゃ、
しょうがないよね。