読めないあなたに小説を。







朝5時半の集合はなかなかキツイ。


眠たかったのに、どうしても起きなきゃいけないという
謎の使命感と、直前になって行きたくなくなる
謎の感情に支配されて、学校の校門前にたどり着いた。


重たいバッグとリュックを持って、
ジャージ姿でみんなが集まっている。


その中に混じれなくて、すみっこで
ちょこんと体を小さくしていた。


その中に赤い髪を見つけて、
なんとなく安心するような、緊張するような、
そんな気持ちが綯交ぜになって胸の内をぐるぐるする。


お守り代わりに飴玉をポケットに忍ばせておいたけれど、
それは役に立つのだろうか。


大型バスが到着して、
各クラスの担任がそれぞれ点呼を取る。


欠席者は誰もいないようで、
順番にバスに乗り込むように指示が出された。


私は1組なのですぐにバスに乗ることになる。
出席番号順に座るみたいで、私の隣は恵弥くんだった。


窓際が私で、通路側が恵弥くん。
あのリーダーを決める一件から何も話せていないから、少し怖かった。


怒らせてしまったというか、
呆れさせてしまったというか、
どっちにしろいい印象は与えなかったのだから、
良く思っていないだろうと思う。


それを払拭させるために話したいのだけれど、
上手く言葉が見つからない。





全員乗り込んだみたいで、バスはゆっくり出発した。
まだ朝早いというのに、みんなのテンションは高く、
わいわい賑やかだった。


恵弥くんはというと、腕を組んで目を閉じている。
寝ているのかな?これじゃあ話が出来ないじゃない。


なんだか具合が悪いような気がしてきた。
それはこの合宿がスタートしてしまったからだと思うけれど、
なんだか幸先悪いなぁ。
早くこの地獄の3日間が終わってしまえばいいのに。