恵弥くんに聞かれて、目を泳がせた。
私は、はっきり言うとやりたくない。
でも、やりたくないなんて言ったら空気を悪くしてしまうし、
恵弥くんの言うように誰かに押し付けてしまう
嫌な奴になってしまう。
どうすれば正解なんだろう。
「紫月さん、黙ってるってことは
やってもいいってことでしょ?」
櫻田さんの言葉に、首を振りたくなった。
だんだん胃が痛くなってくる。
もう私がやるしかないのかな。
「私は……」
「しょうがねぇな。俺がやるわ」
恵弥くんが名乗りをあげた。
みんなびっくりして恵弥くんを見ている。
私もすごく驚いて彼を見つめた。
だって恵弥くん、こういうの面倒くさがりそうなのに、
自分から言うなんて。
「あっそう?あたしは別に恵弥でもいいよ」
「俺も。恵弥、そういうの好きな奴だっけ?」
櫻田さんも佐藤くんも良かったとでも言いたげに
声を柔らかくして頷く。
自分がやることにならなかったから、安心しているんだ。
ずるい。
人に簡単に投げてしまえるなんて。
でも、私も同じなのかもしれない。
恵弥くんに押し付けてしまった。
それはこの二人と変わらない。最低だな、私。


