読めないあなたに小説を。




思い切ってそう切り出すと、
このグループ内がしんと静まり返り、
一斉に私に視線が集まった。


しまった、出しゃばり過ぎたと思って俯く。
すると櫻田さんが言った。


「えー。じゃあ、紫月さんがやったら?」


「えっ……」


「真面目そうだし、向いてるよ」


「俺は誰でもいいよ。俺じゃなければ」


もう1人の男子、佐藤くんが言った。
どうしよう、これじゃあ私がリーダーをやることになってしまう。


「紫月にリーダーは無理やろ」


恵弥くんが鼻で笑った。
顔を上げると、恵弥くんはスマホに視線を落としている。


そんな言い方しなくてもいいじゃない。
確かに私には無理だけれど……。


「櫻田は面倒やから紫月に押し付けたいだけやろ。
 勝手にイメージで決めつけて、責任逃れしようとすんな。
 ちゃんと決めろや」


そんなこと言ったら櫻田さんは怒ってしまう。
恵弥くんの印象が悪くなってしまうのに。


櫻田さんを見ると、彼女は不満そうな顔をして
髪の毛をいじっていた。


ほら、怒っている。
どうしよう、空気が壊れていく。


「お前もや、純也。お前が良ければ
 後はどうでもええんか?そらあかんやろ」


「そ、そうだけどさ、やっぱめんどくせぇし……。
 紫月がいいなら別にいいんじゃないか?」


「お前はどう思うねん、紫月」