読めないあなたに小説を。







学校に着くと、もうグループが出来上がっていた。


当然だけど、始業式の次の日を保健室登校した私は、
どこのグループにも属していない。


こんなことなら勇気を出して教室に出てきて、
どこかのグループに入れてもらえばよかったと後悔する。


出席番号順に並び替えられた席は、
見事に真ん中あたりで居心地が悪い。

もう地獄のような環境に叫び出したくなった。


心を落ち着けようと、無理やり読書の世界に入り込む。
こんなことをしているから、友達が出来ないなんて、
そんなの既に知っているけれど、強がりはなかなか直らない。


みんなには、一人が好きな孤高の女に見えているのかな。


程なくして、チャイムが鳴り、先生が入ってくる。
教室を見渡すと、先生は死んだような目で私を見つめた。


「紫月も来たか。ようやく全員揃ったな」


クラス中の視線が集まるのを感じた。
お願い、そんな言い方しないで。


「1限のロングホームルームは席替えをする。
 先生、やりたくもねぇのにわざわざクジを作ってきたぞ。
 どうだ、嬉しいだろ?」


本当に面倒くさかったんだろうな。
顔が物語っている。


みんなは感嘆の声をあげた。
先生をおだてる声が飛び交う。


少しも嬉しそうにしない先生はすごい。