読めないあなたに小説を。



「具合悪いんか?」


フルフルと首を横に振った。


こんなの、どうってことない。
時間が経てばこのモヤモヤや気持ち悪さはなくなる。


大丈夫。
私は、具合なんて悪くない。元気なんだから。


「んな、突っ立って何しとん」


「か、関係ないでしょ」


「そら関係はあらへんけど」


「じゃあ、ほっといて」


学校でも私はそう言った。
そうしたら恵弥くんは、「言われんでも」と去っていく。


目に涙が浮かんだ。
もう叫びだしてしまいそう。


「紫月。顔上げろ」


「嫌」


「おい」


額に、冷たい感触が広がって、
あっ、と思った時には顔が上がっていた。


おでこを押されて顔を上げられたせいで、
目の前の視界が変わる。


恵弥くんの赤い髪が見えた。


彼は帽子をかぶっていて、
その帽子の隙間から髪が見え隠れする。


恵弥くんと目が合ってしまった。


気だるそうな瞳が私を捉える。


彼は、驚いた顔を見せた。


それもそうだ。
だって私の顔はぐちゃぐちゃだから。


涙は溢れているし、きっと顔色だって蒼白になっているのだと思う。


明らかにおかしいだろうその顔を見て、
恵弥くんはなんて思っただろう。