読めないあなたに小説を。




私の病気を治すために、
我が家は周りに何もないような田舎に引っ越した。


それからは買い物が大変で、
いつもお母さんはくたくたになって帰ってくる。


最近は、私が落ち着いてきたから手伝うこともある。


いつまでも心配なお母さんは、
自分で行ったほうが気が楽だと言うけれど、
私に立ち直ってほしいという思いから頼んで来る。





家からはバスに乗って街まで出る。


もともと乗車数が少ないこのバスには、
乗り込んだ時には私しかいなかった。


飴玉を取り出して咥える。
到着まで1時間か。


スマホを起動させてメモ帳を開く。


こんな隙間時間でも時間が惜しい。


家で書いていた小説の続きを打ち込んでいった。


この小説も早くサイトに上げたい。
なんて言ったってファンが待っているんだから。


私は、一人でも多くの人の心を満たしたい。


泣くという感情は、人間にとって必要なものだと思う。
人の涙を誘うような物語を書きたい。


今までずっと、その思いだけで小説を書いてきた。


顔の見えない読者たちは、私の小説を読んでみんな感動してくれた。


書いてくれてありがとうと言われると、
また次の小説が浮かんでくる。


こんなに素晴らしいことはない。


小説は、私の唯一の生きがいなのだ。