読めないあなたに小説を。



【視点を変えてみると、意外にも違った感じ方をするものですよ。
 実は優しい一面を持っていたりするものです。
 その人を嫌いだという視点のままではなく、
 変わったところから観察してみてください。


 その子にもきっと素敵な面があるはず。
 そらさんはその子の人間性を必ず好きだと思うでしょう。
 とっておきの新作、楽しみに待っております】


すぐに、あのタンポポのことが浮かんだ。


意外中の意外だけれど、
まさか本当に、あれは恵弥くんがやったの?


「そんなわけ……」


ポツリと呟いて、メッセージを閉じた。
ワードを開いてキーボードを叩く。


小説の続きを書きたいのに、頭に浮かぶのは恵弥くんの顔。


くだらねぇと言い放った彼の顔が忘れられない。


今誠治さんに励ましてもらったばかりなのに、
だんだん気持ちが落ちていく。


私の小説は、くだらないのかな。


こんなの書いていても、意味なんてないのかな。


それじゃあ、私の生きている意味って何?


病気になって、苦しい思いをして毎日を生きる。
そこに小説という生きがいを見出せなかったら、
私はなんのために……。


「朱莉―。ちょっとおつかい行ってきてくれない?」


ノックをして部屋に入ってきたお母さんは、
お金を持って立っていた。


パソコンを閉じて立ち上がり、頷いてお金を受け取る。
「これに書いてあるから」と言ったお母さんにメモを渡された。


「これ、買ってくればいいのね」


「ええ。一人で行ける?」


「馬鹿にしてる?もう大丈夫だから」


笑ってお母さんを押しのけ、玄関に向かう。


普段あまり外出しないので使わないスニーカーを履いて、家を出た。