その手紙を抱えて走り出した。
春の日差しはまだ遠い。
人混みの中、彼を探す。
優弥、お願い。
まだ、そこにいて……。
私には分かる。
優弥はこの手紙を受け取るべきだ。
ただのおせっかいだって分かってる。
でも、優弥には、ちゃんとこの手紙の気持ちを知ってほしい。
私には分かる。
ずっとお互いに気持ちを分け合ってきた仲だもの。
ずっと、優弥の気持ちを知ってるもん。
まだ、冷たい風が、私の横を通りすぎた。
春はまだ、遠く、どこにもその姿はなかった。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…