その手紙を抱えて走り出した。 春の日差しはまだ遠い。 人混みの中、彼を探す。 優弥、お願い。 まだ、そこにいて……。 私には分かる。 優弥はこの手紙を受け取るべきだ。 ただのおせっかいだって分かってる。 でも、優弥には、ちゃんとこの手紙の気持ちを知ってほしい。 私には分かる。 ずっとお互いに気持ちを分け合ってきた仲だもの。 ずっと、優弥の気持ちを知ってるもん。 まだ、冷たい風が、私の横を通りすぎた。 春はまだ、遠く、どこにもその姿はなかった。